材料知識


1.ステンレスについて

 <1>材質による分類

SUS304

Cr18%、Ni8%を含む一般的なステンレス鋼。スプーンの裏とかに18−8ステンレスと書いてあるのはこのSUS304のことである。耐食性・耐熱性がある。板材、パイプ、アングル、チャンネル、丸棒など様々な形状の材料が造られていて、もっとも入手しやすい。塩素や酸の強い環境では腐食する。また、溶接の熱影響を受けたところで、腐食割れをおこすことがある。オーステナイト系。

SUS316

SUS304を基に、Ni量を増やし、モリブデン(Mo)を2〜3%付加したもの。Moの添加により、耐酸性、耐熱性が向上している。比重は8.0。Moは高価であるのでその分の価格が上乗せされる。材料形状は、SUS304に比べて制約が発生。SUS316Lもある。

SUS430

Cr18%。磁石につく。SUS304に比べ、耐食性に劣るが、安価なため、厨房(台所)用品・家庭雑貨などで多く利用されている。家庭などの水周りで使う程度の環境であれば、ほぼ問題はない。。熱膨張率が小さいことが利点。  SUS304系に起きる応力腐食割れ対策として、ステンレス屋根(建材)や温水器などは、SUS430に、Moを添加して錆びにくくした鋼種(SUS444)が多く採用されている。比重7.7。フェライト系。

SUS410S系

安価なステンレス鋼種のため、自動車の排気系部品に使われている。鉄に比べ耐食・耐熱性がある。

SUS310S・SUS309S

Cr、Niを増やした耐熱鋼であり、炉材や熱処理器具などの過酷な条件で使われている。1000℃ぐらいの熱にも耐えうる

耐熱性・・・SUS304、SUS316、SUS309S、SUS310Sの順に高くなる 価格も順番に高い。

。一般的に使われているニッケル系ステンレスの中では、SUS310S(相当)が最も高価である。SUS310SがCr25%・Ni20%。

SUSXM7

ヘッダー・転造・深絞り用途。SUS304をベースに、銅(Cu)が3〜4%付加。柔らかい ため、冷間鍛造や変形率の大きなプレス加工などに用いられる。SUS304では、割れてしまうような加工をする場合に使う。ステンレスのネジ(ビス)などに使われることが多い。

SUS303

快削鋼。SUS304に、燐(P)硫黄(S)などを添加すると、切り粉がきれいに出て削りやすい材質になる。ただし、耐食性が落ちるので、使用環境に注意が必要である。クロム系の快削鋼はSUS416がある。旋盤加工などの切削部品に使用される

SUS301

SUS304よりC(カーボン・炭素)を多めにしてあるため、冷間圧延加工による加工硬化が大きく、板バネとして使われる。

SUS440C・SUS420J2

Cr13%の鋼種(マルテンサイト系)で、焼き入れ用である。  ステンレスの定規やノギスなどに使用される。


<2>表面仕上げによる分類

No.1(ナンバーワン)

熱間圧延処理後、熱処理、酸洗またはこれに準ずる処理を施したものである。銀白色で光沢がない仕上げとなる。

2D(ツーディー)

冷間圧延後、熱処理、酸洗またこれをつや消しロールで軽く冷間圧延を施したものである。にぶい灰色のつや消し仕上げとなる。

2B(ツービー)

2Dに適当な光沢をあたえるため、軽い冷間圧延を施したものである。2Dよりもなめらかで、やや光沢がある仕上げとなる。通常、材料屋さんにステンレスを頼むとこれが来る。

BA(ビーエー)

冷間圧延後、光輝熱処理を行い、さらに光沢をあげるため、軽い冷間圧延を施したものである。#400の鏡面に近い光沢をもった仕上げとなる。

#400

2Bを400番バフによっての研磨仕上げしたものである。通常ステンレスの片研(板表面の片側の研磨)、両研(板表面の両側の研磨)を頼むとこれが来る。

HL(ヘアライン)

適当な粒度(通常150〜240番の砥粒)の研磨ベルトで髪の毛のように長く連続した研磨目をつけたものである。連続した研磨目をもった仕上げとなる。

#800

2Bを800番バフで研磨仕上げした高い光沢を持つ鏡面仕上げである。カーブミラー等の鏡として使用される。